夫の名前はジム、妻の名前はデラと言います。2人とも心から尊敬し愛し合っています。明日は年に1度のクリスマスです。お互い、相手に買ってあげたいプレゼントは見つけてあります。でも貧しくてお金が足りません。いよいよ夕方になりました。クリスマスイヴを祝うために、それぞれが家に戻ってきます。お互いが買い求めたプレゼントを渡し合います。ところが2人とも驚きのあまり声が出ません。妻のデラは、自慢の長い金髪を売って夫のジムが一番大切にしている金時計にぴったりの鎖を買いました。夫のジムは、自分が一番大切にしている金時計を売ってデラの金髪をとぐための素敵な櫛を買いました。夫のジムと妻のデラは、自分が一番大切にしているものを犠牲にして、相手が一番喜ぶと思うものをプレゼントしたのです。ところが、ジムにはデラからもらった鎖をつける金時計はなく、デラには、ジムからもらった櫛でとぐ金髪がありません。こうして2人のプレゼントは台無しになってしまいました。この2人は馬鹿なことをしたのでしょうか。いや、そんなことはありません。プレゼントのお陰で、2人は、生きる上でもっとも大切な「愛情」を確かめ深め合う事ができたのです。プレゼントとは品物ではなく、贈る人、贈られる人の心なのだ、というお話です。
これは「賢者の贈りもの」(オー・ヘンリー)の要約です。「クリスマス・キャロル」(ディケンズ)もクリスマスの季節の物語ですが、いずれも人の心を主題にしている点で相通じるものがあります。早いもので来週から12月。心静かにこの1年の締めくくりをしたいと考えます。