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校長便り

「お念仏の会」に込める思い(校長だより)

投稿日2025/1/24

 先日2年生各学級の児童と「お念仏の会」をしました。「お念仏の会」とは、道徳の授業のなかで、私が仏教について各学年の発達段階に合わせて子どもたちに話し、一緒に阿弥陀様にお祈りをするものです。

 本校の心の教育は、仏教を基本としています。今年度も、朝夕の合掌や担任による淑徳の時間(道徳)など、学校全体の環境の中で間接的に宗教心を育む営みと合わせて、「お念仏の会」は直接的に仏様や仏教について伝える大切な時間と位置付けて取り組んできました。

 1年生には、お釈迦様と阿弥陀様というお二方の仏様に守られている学校だということ、阿弥陀様のお名前を呼んでお祈りをする「南無阿弥陀仏」の意味と合掌・お十念の作法など、もっとも基本的なことを話します。話の内容は学年ごとに少しずつ詳しくなり、6年生では仏教行事で歌っている仏教聖歌「懺悔文」の意味、仏教の世界観である輪廻と解脱・極楽往生の思想まで扱います。

 本当の宗教心は、自己と深く向き合う思春期以降に獲得していくものでしょう。けれども、幼い時に養われた宗教的な心情というものは、無意識のうちに一生の指針になると考えます。そして、絶対的な真・善・美であるみ仏と向き合い、嘘偽りのない自己を見つめる行為そのものが一人ひとりの心を正しい方向に伸ばしていくことになると信じています。

 今年も成人の日に合わせて、8年前に本校を巣立った卒業生の同窓会「二十歳を祝う会」があり、私も参加してきました。この会は、例年、その学年の同窓会学年委員が中心となり、保護者のご協力を得て開かれています。行政の行っている地域の成人式に参加するよりも、小学校生活を共にした友だち・先生方と和やかに過ごす会は記念になってうれしい、という声が多くあります。今年は卒業生の8割が集まり、保護者も30人ほど参加して、お祝いをしました。

「二十歳を祝う会」では、卒業生それぞれの近況や夢を聞くのが楽しみですが、毎年、印象的な話を聞きます。今年も「卒業してからつらく苦しい時があったけど、小学生の時を思い出して阿弥陀様にお祈りをして、なんとか乗り切った。」「淑徳小学校に通えてよかった。」というような話を聞きました。具体的には記せませんが、思わずもらい泣きをするような話でした。つらい時期を乗り越えて二十歳の会に元気に来てくれたことに胸がいっぱいになりました。

 全員が順風満帆で幸せな時ばかりではないのは、人の世の理かもしれません。それでも、幼いころに小学校で育んだ宗教心が、その後の人生を良い方向に向けることがある、という体験話を聞くたびに、お釈迦様のお導き、阿弥陀様のお救いが本当にあるのだ、小学校での宗教教育が幸せにつながっているのだと確信し、ありがたく思います。

 今年も、早1カ月が経とうとしています。様々なことがあっても、俯瞰的に考えると全てよしと思えるような一日一日を積み重ねていきたいと思っています。今年一年が皆様にとって、よい一年となりますよう祈念しております。