9月末、運動会を実施しました。昨年は競技を精選し午前中だけの開催としましたが、今年は以前の形に戻すことができました。秋の一日、保護者の方々に応援していただきながら、子どもたちは久しぶりに力いっぱい活動することができました。元気いっぱい、満面の笑顔の子どもたちの様子に、児童が楽しみにしていることを大切にしていかなければならないと、改めて思った次第です。
運動会は日頃の運動の成果を発表する行事ですが、競技種目によっては普段あまり使わずに過ごしているような筋肉を使うこともあります。ですから、練習で身体のいろいろな部位を使い様々な動かし方をすることで、身体全体を育てていくことができます。さらに、身体面にとどまらず、子どもたちの精神面の成長にも大きな役割を果たす大切な行事と捉えています。
どの学年のどの子どもも、団体競技の練習に取り組みながら、友達の気持ちを考え協力したり我慢したりすることがあったでしょう。高学年の児童は係や分担によっては、クラスの友達と離れ、普段とは違う人間関係で動かなくてはならない場合もあります。どの学年でも、いつも以上に自分で考えたり、周りの子とのふれあい・助け合いが必要な場面に出会ったりしたはずです。そこで、状況に合わせて自分の気持ちを調整する力が身に付いていきます。
私たち教職員は、学年の発達段階によって、また、学級の状況によって、あるいは個人の状態によって、たとえば、時間に気を付けて行動しよう、自分の力を出し切ろう、自分の役割に責任を持とう、みんなで協力しよう、お互いを応援しよう等、具体的なめあてを提示し指導するよう配慮しています。
このような内面の成長を大切に考えての働きかけは、本校の心の教育の一つとして取り組んでいる「お互いの良さを認め合う」活動にもつながっています。各教室には学級目標と共に、『学級の宝物』という活動記録を掲示していますので、ご来校時にご覧いただいているかと思います。「お互いの良さを認め合う」ことには、友達一人ひとりを尊重する心が前提になります。また、私たちは一人では何もできず、相手がいるからこそ楽しむことができる、という関係性への感謝の気持ちも必要です。
小学生くらいの年齢では、運動会の勝ち負けにこだわりすぎるあまり、勝敗で険悪になったり、自分たちの優位さを誇ったりしてしまうことがあります。だからこそ、学校では、練習を通じて相手を尊重する心や感謝の心を育て、気持ちよくお互いの頑張りを認め合うことを大事にしてきました。自分が疲れたり辛かったりしても、学級やチームや友人のために頑張ることが、ひいては自分の楽しさにも、また成長にもつながることを「利他共生」の心として実感したことでしょう。
今年の運動会も、練習や準備を進めるなかで、大きく成長する場面をたくさん見てきました。その経験が、一人一人のこれからに生かされていくことを、保護者の皆様と共に見守っていきたいと思います。