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校長便り

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『体験的学びで生きる力を育む』(校長だより)

投稿日2022/5/24

 少し前に入学式、始業式を行ったように感じているところですが、早2ヶ月が経とうとしています。お陰様で、修学旅行、春の運動会、PTA総会、学級懇談会等と、行事を予定通り実施でき、また、順調に学習が進んでいることを、大変嬉しく思っています。

 先日は、授業中には、めったに児童が通らない校長室前の静かな廊下から、児童の声が聞こえてきました。廊下に出てみると、アイマスクをつけ白杖を持った児童が手を引いてもらったり肩につかまらせてもらったりしながら、歩いています。情報の時間に、4年生が取り組んでいる視覚障害体験と視覚障害ガイド体験です。

 体験は、学校正面から校舎内に入り1階廊下を進み、低学年昇降口から外に出て出発地に戻るという、全長50m程の周回コースを設定して実施しています。直線が多いコースとはいえ、校舎内と外では段差があり、簡単ではありません。

 「こわい。進めない。」
 「一歩ずつ。ゆっくりで大丈夫だよ。」
 「段差があるよ。足を上げて。」
 「前に人がいる。ちょっと、止まるよ。」
 「ここは保健室の前。あと少しで左に曲がるよ。」

 何度も歩いたことがある校舎内ですが、アイマスクをした状態は、文字通り手探りです。ガイド役の児童の補助と声を頼りに、杖を突きながら慎重に進んでいきます。予想以上に不安が大きく、言葉も出にくいようでした。

 ガイドする児童は、はっきりと細やかな声かけを心がけます。安全に実施するためにも、ガイドの仕方について、事前にしっかりと学習しました。しかし、実際にその立場になってみると、戸惑うことが多くあります。指導する教員も、要所で見守り、細かく補助をしていました。

 たとえ短時間であっても、いつもは感じずに生活していることへの不自由さと不安を体験することは、自分と違う立場の人に寄り添う気持ちを育み、また相手の立場に立って行動する難しさを感じる、貴重な機会です。

 本校の初代校長であり、学園の創立者、学祖・長谷川良信先生は浄土宗僧侶であり社会福祉事業家でもありました。本学園の淑徳大学はもともと社会福祉学部から始まっています。

 小学校でも、建学の理念である「利他共生・感恩奉仕」のもと、慈しみの心を育て、多様な人々と共生する社会を生きる力を育てるために、3年生から総合科(情報の時間)の中で、障害と福祉、SDG’Sなどをテーマに学びを広げ深める取り組みをしています。

 体験などの活動の前後では本やインターネット等を活用し、調べたことをまとめ、発表するといった学習をし、パソコンを扱う技能やインターネットリテラシーも高めていきます。最近は、これらに加え、プログラミング学習にも取り組み始めています。

 このように、ひとつひとつの学習活動に、多角的にアプローチすることを重ねていくことで、これからの社会で生きていく、総合的な力を育て伸ばしていくことを目指しています。