潮干狩りのシーズンです。地元木更津にはいくつもの潮干狩り場があります。潮の引いた砂浜で小さな熊手のような道具を使って砂の中にもぐっている貝を掘り出します。とれるものは主にアサリ。しゃがんだ姿勢のまま作業を続けるのでけっこう疲れます。おまけに海には日陰となるものがないため暑さ対策や日焼け予防が欠かせません。にもかかわらずバカガイやハマグリなどの貝がとれたり、時には小さなカニを発見したりといった楽しみもあることから家族連れには昔から人気がありました。
 カニと言えば、イソップ寓話に「蟹(かに)とその母」という話があります。
 「蟹のお母さんがその息子に『横這いをしてはいけませんよ。また脇腹をじめじめした岩にこ
  すりつけてはなりませんよ。』と言いました。と、その息子は『お母さん、教えていらっし
  ゃるあなたが真直ぐ歩いて下さい、そしたらあなたを見てそうなりたいと思うでしょう。』
  と言いました。」(『イソップ寓話集』岩波文庫,1989年)
 この話には、「人を注意するには自分が正しくできることが大切で、自分にできもしないことを人に求めるのはやめよう。また、子供は周囲の大人を見て育つので大人たちは常に良いお手本であるよう心がけなければならない。」といった教えが込められています。
 見方を変えれば、いつも一緒にいる人の影響力はそれだけに大きいということです。家庭における親、教室における先生は、子供にとって影響力のかたまりです。一般的に、いつも表情の明るい子供はその親(先生)も家庭(教室)において明るいといった傾向があるようです。「子供は親や先生の言うとおりにはならず、親や先生のするとおりになる」という言葉もあります。
 「蟹とその母」には、他人の欠点はよく目につくが、自分の欠点にはなかなか気付かないものだという教訓も含まれています。干潟の海で無心にアサリをとっていると、他人の欠点も自分の欠点も忘れ去ることができます。こういうひとときも大切でしょう。